オキザリスの実生について #
ここではオキザリスの中でも、実際に自分が交配して種子を得ることができたフラバの仲間を中心に南アフリカのグループを念頭に置いて注意点を書いています。その程度には独自の進化を遂げている……ということも実際に自分で交配するまで知らなかったのです
種子が独自の進化を遂げている #
本当にこれが驚きのポイントです。最初に種を見たときに????????って頭に疑問符が浮かびまくりでしたし、そこから暫く実生に挑戦していてもまだまだ分からないことだらけです。そんな中でも自分の分かる範囲で記録をしていきます
これが実際に得られた種子と果実…… いや双葉じゃん! と思う方もいるでしょう、自分も最初そう思いましたし、今でもはっきり言ってこれは種子なのか……?となっています
独自進化ポイント - 無胚乳種子 #
植物の種はふつう胚乳というところに初期成長のためのエネルギーを蓄えており、身近に見られるカタバミもしっかりと胚乳のある種子なのですが……どういう進化をしているのか、どうもオキザリスには胚乳のない種子を持つ種類があるようです
ただ、これに関しては栄養の貯蔵組織が胚乳→子葉に変わっているだけ、身近に同じような形態ものはないか?と考えると豆類なんかそうですよね。ピーナッツなんかを想像してみてください、赤みがかった薄皮を剥いたら中にあるあれは双葉……薄皮?
独自進化ポイント - 内種子はどこ? #
もう一度上の写真のオキザリスの種子を見てください。双葉っぽいのはマメ科でも見られるので良いとしましょう。でもマメ科の種は基本的に皮に包まれています。このオキザリスは……皮……皮ってどこに……?となるのがまた不思議なところです
カタバミの仲間が種を弾き飛ばすあのギミックに使われる白っぽい膜、あれは外種皮由来の組織らしいのでもともと内種皮しかない種なのですが、普通のカタバミであれば赤褐色の種皮があるのに対してそれに相当するものが見られない。かなり不思議です
独自進化ポイント - すぐ死ぬ #
Pacific Bulb Societyのオキザリスのページ中の記述によると、24時間以内に適切な環境に置かれないと成長できないという話がある程度に種子は短命のようです。実際にこの種子を見ると「これ種子っていうか根のない双葉状態の幼植物なのでは?」と思う程度には生です、こんなの乾燥したら即死するだろうってのは想像に難くありません
種子の特徴を踏まえた実生について #
と書くとそれっぽいですが、まあ見るからに乾燥させちゃいけないものですので……ひとまず自分に言えることはとっとと播こうということですね。なお1つの果実の5室から種子が飛び出すタイミングは数時間以上のズレが生じるようなので、回収においても工夫が必要そうではあるのですが……それはまた別の機会に
吸水前の種子は双葉が開いていないような状態ですが、双葉の反対側……根が生えると想定される場所にはちょっと葉とは違う突起状の構造がある(上記写真では右上側)ので、ひとまずこの部分を下向きにしつつしっかりと埋まるように播種するのが良いのかな?と考えています
しっかりと埋まるように播種できていない失敗パターンなのですが、その結果初期段階でどのような発根をするのかが記録できたものです。これは12/12に播種→12/14に撮影
双葉になると思っていた部分からも発根が確認できる
ということがこの個体から判明し(矢印部分)、そりゃそうなった方が合理的だけど……えっこれどこからどこまでがどの部分なの?と混乱する程度にはまだ謎に満ちています。この時点では主根にあたる根はまだ確認できなかったので、まずこの細かいもので植物を支持出来るようにしてから発根してくるのではないかと思います。また、双葉の間から本葉が顔を覗かせていますが、これに関しては播種から数時間後には既に観測できるということも分かっており……理屈は分かるんですが本当に変な種です
最初に播いたものは3週間程度でこのように、小葉の枚数こそ1枚しかありませんがかなり親に近い葉になりました。進行ペースとしてこれが早いものなのか、遅いものなのかはちょっと比較できるものがないので不明ですがひとつ参考までに記録しておきます
このまま次々と初年度から本葉を展開してくれるのか、最終的には球根が形成されて休眠に入るはずですが初年度ではどの程度の球根になるのか――まずそこまでいけるのかも分かりませんが、何度か種が採れて播くことができたので、ひとまず現時点で見えてきたことをまとめてみました。また、新しく分かったことがあれば順次追記していきます