オオエノコロ追加調査

July 14, 2024
野外観察記録
イネ科, エノコログサ属
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割と近くで見つけたオオエノコロ集団、採種もできる段階まで花も進んでいるようなので追加の採種と、改めてデジカメを使っての記録をしてきました。改めて見ると「こんなやつもいたのか!」などという発見も

出直しておいてメジャーを忘れるという初歩的ミスをやらかしたので目測ですが、草丈は1mぐらいはありそうでした。もたれかかるもの抜きでここまでのサイズには普通のエノコロはあまり到達しないので、そういう点と

葉の幅などを見ても、やはりこれは一般的なエノコログサと比較して大型の植物であると言っても差支えないと考えます

そもそもオオエノコロが何者なのか……には完全なアンサーがないのですが、アワとの雑種という説に則って「小穂が一般的なエノコログサよりも発達している」という点を踏まえて自分はオオエノコロ判定をしています1。そういう点では、やはりこの集団の穂は枝が長く、結果として隙間が生まれている姿になっているのが自分のイメージするオオエノコロの穂らしいなと。大型の穂になった結果なのか先端が垂れる(アキノエノコログサみたいに)ものが多いというイメージもあるのですが

この集団内でも別にそうはならない個体も見られたので、充実度の違いなのかそういうところも遺伝的にちょっとずつ差が出るのかというのは今後追いかけてみたいテーマの1つですね


同じ場所にいた「こんなやつ」 #

同じ区画内にですね、パッと見た瞬間に穂の色が違うのいるじゃん!という気付きがありました。手前の目立つ個体見てうおおおおオオエノコロ!となって周り全然見てなかったですからね、人間関心を向けたものしか見れないのです

そんな色の違う穂のアップ。途中が太く、先端に向かって細くなる印象を受けるオオエノコロとはフォルムが違うしやはり色も違う

色という観点でいくと、茎……特に節の部分が濃くなりますね。葉も真ん中に色がついていて、これはかなり雰囲気の違うエノコログサだぞ?となります。当たり前のようにこんなものが隣接することがあるのですね

そして、オオエノコロ的な穂をしながらこの色違いのエノコロの特徴を引き継いだ?という雰囲気の交雑個体と見られるものも確認できました。時間経過とともにこういう交雑個体も増えていきそうですが……このオオエノコロの出現自体がここ数年、ごく最近の出来事のはずなので今後どうなるのかは謎ですね


周辺個体、歩道の反対の道路側 #

そんなすぐ近くにいるエノコログサは標準的?なサイズと見た目でした

穂をチェックしても枝って感じではないですね。ごく一般的なエノコロ……道路に面していることを踏まえると、このタイプが道路に沿って他にもいないかということは気にして探してみるべきかもしれません、こっちはこっちでどこに起源があるのかと言う謎がある


このオオエノコロ集団成立の謎 #

よくよく考えるとこれ、2023年まではいなかったのでは?

という疑惑が存在しています。これはストリートビューで昔を確認したらそうだそうだ前の建物があったころはつる植物っぽい植栽に覆われていたんだとなって、じゃあそれを工事で取っ払ったときに侵入の機会が生まれた……つまり長くても2シーズン目の可能性があるのです

そもそもオオエノコロがアワとの雑種だったとして――それが現代で、アワの栽培もない地域に突然出現したり長期間にわたって雑種の特徴が維持されてる2のってどうなのか?みたいな疑問のあったのですが、それに合わさってここ最近強く疑問に思っている

空き地に最初にエノコログサ属が生えるのは分かった、分かったけどその種はどこから来ているの?

という疑問に関しても、このオオエノコロ集団には適用されることに気付きました。うーむ、その辺に当たり前のようにいるエノコログサのことも我々はあまりにも理解できていないのではないか?という気持ちが強まりますね

こういう目立って目に付く集団だけでなく、より多くの集団を追いかけて比較して見ないといけないのですが……エノコログサを見るならここを押さえておけ!なポイントはどこかをまず知らないといけないし、そこを踏まえて記録をして……も、条件の異なりすぎる野外の姿を見るだけに終わってしまい、栽培しての比較まで手が回りそうにないのが足りなさを感じます。でも採種も進めて保管だけでもしておきましょうか、そうしよう


  1. これが一般的なオオエノコロの判定基準と合致しているかは自信がない ↩︎

  2. 野生下での繁殖には不利そうなのですが、現代のアワと混ざったら脱粒しないオオエノコロがいてもよさそうじゃない?とか逆に雑種なのに親の性質が見られないのもずっと気にはなっている ↩︎