ポーチュラカ(ハナスベリヒユ)を購入しました

June 12, 2022
ポーチュラカ
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斑入りってどういう理屈で発生しているのかわからん、というつぶやきから色々と拡がってですね

買ったもの #

先にこれの紹介をしちゃいましょう。まだ追加で交配するための相手の購入も必要なのですが、ひとまず検証したい要素持ちを選んできたのが以下の2つです

今回重要なのはこの絞り模様の花の咲くもの。少なくとも以前の栽培で目当ての現象が確認された実績もちということで、コメリに流通するものの中でもモザイクレッドとされるものと

生産者がまた違うのか、までは知らないのですが同じ花模様のものをスーパーで購入しました

これを目的の変異が出現するまでとにかく挿し木で増殖していこうというのが第一段階。あとは交配用に複数タイプのポーチュラカも用意したいのですがそうなってくると結構な場所を確保しないといけなくなってくるのでどうしようか、というところです

花キメラ・モザイク・周縁キメラ #

そして話は戻ってなんでポーチュラカを買ったのかに至るまで

斑入りの話なのですが、散り斑は遺伝する一方で覆輪のような斑入りは遺伝が難しい理由として

  • 散り斑は一定確率で斑入りに変化しうる同一細胞の集団
  • 覆輪は斑入りに変化した細胞と元の細胞のキメラ状態

というような話を教えて頂いて、その辺を自分で調べているうちに周縁キメラという単語に出会ったのです。そしてこの概念を知ったとき自分の中で 斑入りは分かりやすいだけで他にもこういうキメラを起こしているものってないのだろうか? という疑問が生まれ、そのアンサーとして花でも周縁キメラがあるらしい……そして一部のポーチュラカを周縁キメラとして扱っている方のウェブサイトも検索なんかで出てきたところで

モザイクレッドというポーチュラカに写真のような変異が起こることを思い出して……もしかしてこの名前のモザイクは細胞モザイクのことを指しているのではないか(多分違う)とか考えたり、あとこいつに関しては花色の変化だけでなく赤色に花が変化すると不稔性だった花に稔性が復帰するという変わった現象が見られるんですよね

なのでなんかこう……遺伝的に違う細胞混ざった状態で赤色の花は普段はマスクされてるけど、変異が起きるとそっちが出てきたりするのではないかな?とか考えたわけです。ただこういうのはトランスポゾンの影響ではないかというお話も伺って、それはそれで色だけでなく他の性質も変化するのって興味深いなということで。じゃあ改めて栽培して

  • 自分が確認した不稔性 / 稔性の変化は再確認できるのか
    • 交配相手に依存しないのか、また雄性に関してどうなのか(ここあまり見れてない)
  • 種子を得られた場合、次世代の花はどうなるか(元の模様が出るのか、変異を起こすか)

あたりどうなっているのか調べてみたくなったわけです。ということで買ってあれこれやるぞという気持ちが湧いてきているので気持ちがしぼまないうちに絞り花個体を確保して、さて次は交配相手に使うのはどうしようかなと。複雑な要素を持っているものをうっかり選ぶとそちらの影響で次世代の花色が色々と出たりするかもしれない……なんてところまで考えると結構厄介そうですよね

それ以前にマツバボタンですら転んだ自分が種を得られたとしてちゃんと実生から栽培できるのかというとんでもないところに障害もあるのですがその辺は種採れてから考えようと思います

基本は黄色です

ポーチュラカ――あるいはスベリヒユ属全体としての性質かもしれませんが、いわゆる花キメラ的な花が出てくるものって結構ありまして、こちらもコメリに入る黄色のものだったと記憶していますが、黄色からはピンクの花が出てきます。なんならこいつは全部ピンクになった花も見たことありますね

ポーチュラカは基本的に栄養繁殖で生産されているはず1なのでこの変異する性質がどの程度遺伝するかはわからないのですが、マツバボタンのこのタイプなんかは実生で出てくるんですし遺伝しないわけではない……のかな?こいつの花とかまさしくトランスポゾンっぽいですね

同属で言うとこの……マツバボタンと言ってしまうと少しひっかかりのあるものも変異を起こす系統では結構不安定な花をしています。この花のベースのバイカラーからピンク色が出現するものと

白い花の一部だけバイカラーに移行するものに出会ったことがあります

色の変化は花弁だけでなく雌雄の蕊にも影響が出ているのでその辺ひっくるめて同じ細胞から分かれている(そして分かれる前に変異が起きている)のだなぁと感じさせられます

写真には撮れていませんがヒメマツバボタンでも確認しているので、結構な数この属では見られるのではないかなと。入手しやすいウェルデルマニー・ギリエシー・モロキニエンシスと野外のスベリヒユの

おまけの話 #

周縁キメラとして紹介している人がいたポーチュラカの花はこれが近いでしょうか。全部同じ品種として入手したものから咲いて、全部本来の花とは違う花の咲いたやつです。この程度には不安定さを持っている植物だということで結構面白いんですよね

惜しむらくは開花する頂点で変異を起こしてもそこから先がほぼない2ことですが、もし種を播いて次世代でも同じような変異とか見れたら面白そう、そしてその辺どうなるかはあまりやったことのある人もいない……ということで、ちょっと取り組んでみたいかなと

枝を挿し木して開花させて種採ってのサイクルだけなら2.5号ポットもあれば十分できますし、省スペースでポーチュラカを今年はやってみましょう。挿し木の枝を採る親株はそれ用に少し大きい鉢が必要そうですが……きっとなんとかなるはず


  1. 業者向けの種子とかも聞かないですしいつも挿し木したっぽいポット苗ですし ↩︎

  2. 有限花序なので挿し木で増やすとかも難しい ↩︎