完全に近い枝咲きのスミレをついに発見

March 19, 2024
野外観察記録
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ずっと探していた――というとまあブランクもあるので誇張気味ですが――形質を持ったスミレについに出会いました。最初に「こういうのあるんだ」と気付いてから10年……いやそれ以上はかかっていますね、でも探せばいるんです!


リュウキュウコスミレ(仮)の中にいました! #

それっぽい兆候はあったので気にしていた個体の矢印の花ですね

開き具合はちょっとまだまだですが、この花の付け根を辿っていくと……

そう、他の花の花柄になるのです!これは普通の葉の腋ではなく、花柄に存在する苞葉のところから出てきているもので……これまで、閉鎖花の形では何種類かのスミレで遭遇し、Twitterで他の方の遭遇例も教えていただいたりしてたのですが……開放花は初めてです!!!!!

この個体もしかして……?と思っていたので、花粉用に花を摘んだ際に敢えて苞葉付近を残るようにしたもの。両側から蕾が出てきて、こちらも開花しそうです

この個体の花はこんな感じで、この場所のリュウキュウコスミレの中では平均的な花ですね。咲き始めがピークでそこから褪色するという特徴を持っています。なかなかサイズもあるので良いスミレだなーと、そこに今回の枝咲きが乗ってくるのでもうかなり今後は推していきたくなるスミレですね!

今後の展望 #

まずこの形質を固定するべき、この株から採種してたくさん播いて子孫を得るのはマストです。ちょっとそうか病出ているのでそこは気になりますが……ノジスミレの派生と考えるとどうしても病気に負けやすいのは仕方ないのかなと

そして今回『完全に近い』と記事タイトルにしたのには理由があります

これはわき芽が閉鎖花どまりの個体にも共通する要素で、頂芽優勢の関係なのかメインの花が開花している間にわき芽の花が咲くことはないように思えるんですよね。そう考えると、この点を克服してこう……キングギドラ的に咲く個体を生み出した時にこそ完全な枝咲きと呼べるのではないかと、そう考えています。例えるならケルベロスとかの方がいいかな?

安定してこのタイプを殖やせるならそれだけで価値があり、また交配することで交配種でも同じように咲かせることができればかなり面白いのではないかな?と……そういう方向でも活かせるようになりたいですね。開花期間が他よりも長くなりやすいリュウキュウコスミレでこの変異に出会えたのも、そういう意味では幸運だったなと


こんな感じで色々と出来そうなので本当にこの出会いは大きいです。今年こそはあれこれスミレに関して頑張っていきたいですが、この枝咲きに関してはひとつ大きいテーマとなりそう、いや 大きいテーマにしていかねばなりません