巨椋池干拓地に蔓延するチャボヒゲシバ

August 16, 2023
野外観察記録
イネ科, オヒゲシバ属
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蔓延と大きく書きましたが今回確認できた範囲はごく狭く……しかしそれでこれだけの個体数が確認できるのであれば、想像以上に拡がっているものとして考えるべきではないかというのが個人的な意見です。それが正しいかどうかはしらみつぶしに確認していくしかなくまた時間を取って行いたいですが、この記事では今回出会った規模の大きい集団、そして過去の遭遇より気になっていた散布形態に関わる話をしたいと思います

今回の探索地点 #

この辺です。今日は意図して巨椋池干拓地にやってきたのではなく、かなり昔に見た草を探してうろついているうちに迷ってこの場所に出てきたので、せっかくだし田んぼの横を通りながら帰り道へと向かおうかという行程でした。場所はぼかしているのではなく、自分がどこを通っていたのかいまいち把握できていないだけという……

そんな自分の目の前に、先日の場所と同じくホソバツルノゲイトウを添えてチャボヒゲシバが早速登場。この時点で嫌な予感はしていたのですがそれは想像以上の結果によって当たっていたことを知らされます

これまでは水田しか出てきてませんでしたが、干拓地全部が水田になっているわけではなく畑地になっている場所も当然あるんですよね。そしてその手前には

チャボヒゲシバの集団が。これまでの遭遇事例が

  • 駐車場とそこに接続している道路の隙間×1
  • 田んぼの周辺のあぜなど×2

というものだったのでこいつがどういう環境を好むのかもまだ掴み切れていなかったのですが、やはり田んぼの土っぽい環境よりは多少乾燥している方が良いのかなと。それにしても個体数が多い

ここではこれぐらいのサイズであればチャボというのも納得かな?というサイズの開花株や

これまでは確認できなかった、開花よりも前のステージの個体を確認することができました。どうしても開花している際の目立つ穂を目印にしてしまいますが、この外観を記憶することで今後は開花する季節よりも前の時期にこの植物を探せることに期待ができます。他のイネ科植物と判別できれば……ですが

そしてかなりの個体数がいたなというこのポイントでも甘くて

同じ砂利道を進んでいくと更に大きな群落が出現……いやいやこれはまずいんじゃないかと感じるようになってきて、そして決定的に「この草は思った以上に殖えるのではないのか」と思わされる光景に出会うのです

今日一番の大群落 #

手前のちょっと白っぽくなってるやつ全部、全部がチャボヒゲシバです

かなり広がっている様子の写真は見ていたので、これ結構拡がる草なんだなー…と思っ手はいましたが実際に目にするとなかなかのパンチ力です。今日以前に遭遇してきたものは小規模だったので散発的に出現するのかと思っていましたが、今日は道を歩いている過程でずっといて、交差点を曲がってこの群落がいて……これもう現在進行形で拡散している過程を見ているのではないでしょうか。となると今後更に周辺でも見れるようになるとか、そういうのもあるわけです

時間経過と共にそういう変化が起きるのか、を見るためにはまず干拓地全域……は流石に規模が大きすぎますが、もっと周辺まで範囲を拡大してまず今どの程度の範囲まで拡がっているかということを確認しないといけませんね

少し離れた場所でも確認 #

ここは現在の地図と巨椋池を重ね合わせた画像では範囲外のように見えるので干拓地とは少し違うのでしょうか、でも田んぼ・畑地がある程度北側から続いているので巨椋池ゆかりの場所といえそうかなというポイントです。ただし今日紹介したこれまでの地点が連続している場所だったのに対して、ここは少し離れた場所です。つまりなんからの形で……国道も乗り越えて移動しているということに。どちらも農地、つまりは農家の人の移動とかが絡んでいる可能性も

今日何度も集団で生えている姿を確認していたのですぐに気付けましたが、近辺の田んぼの畔――この場合幅があって、砂利も敷かれていることで普通の畔よりも環境的にマッチしていたことが要因として大きそうです、かなりの個体が確認できました。ここが拡大の最前線なのか、まだカバーできていない場所にこのような群落が生まれているのか、道路の間隙にも生えるので散発的に出現しているのを見落としてはいないか……どの程度の拡散力を持っているのかも分からなくなってきたので、いよいよこれがどこまで拡がっているのか少し怖くなってきました

散布形態に関わる話 #

「どの程度拡がるか」を考えるにあたってこの植物がどう種子を散布しているかの話です

8/12に出会ったチャボヒゲシバの発見のきっかけとして種子があまり脱落しておらず・しかし枯れたようになって軸ごと株から分離した穂を確認しており……これはどういう意味なのか気になっていたのですが、今回それに関わるものとして

一番大規模であった集団の隣の水田内に侵入している同様の穂が確認できました。水田内への移動は昨日の台風7号の風雨が関わっていると考えて良いでしょう、そしてここで注目したいのはこれらの穂が成熟していると考えられる黒い小穂をつけたままであるということです


つまりこいつ、この風車ごと転がったりして移動した先で種子散布していたるするんじゃないか?


という、ちょっとそれはないだろうと言われるかもしれませんが……でも実際にこの状態で分離している姿を見るとなかなかに自分の中で否定できない疑念が湧き上がってきました。どういう散布をしているのか、元々はオーストラリアの植物でし現地の情報に当たれれば知ることもできそうですが……紙の文献、というのはちょっとハードルが高いので、まずはweb上の情報から収集していかねば