暮れの田んぼに多肉が生える

December 31, 2022
野外観察記録
ベンケイソウ科, アズマツメクサ属
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導入部 #

多肉か~まあ多肉だってその辺に生えたりするよなあ、ほらマツバウンランなんかも多肉ですし

ぐらいの気持ちで、昨日暗くなってから見かけたベンケイソウ科っぽい多肉を適当に撮ってTwitterに投稿したらそれ京都府RDB掲載種じゃないのか!?というリプライを頂いて、こりゃ大変だということで駆け足でまた見に行ってきたものです。なお今日も暗くなっている時間だったので写真は微妙なものが多い

昨日見た田んぼより #

今年は稲作をしていなくて、水だけは張られていた田んぼの水が引くとともに色々と発芽してきた中にいたものですね。一応デジカメも緊急出動しましたが引きの写真は撮れなかったのでスマホの残念画質で。ベンケイソウ科っぽい赤色が見えますか?

寄れる範囲で寄ってみて撮影してみた個体たち。シダ植物の前葉体?なのかなんなのか分からないものとセットでいることが多いですね、そういう環境でした。個体数は多い……というほどではなく、広い田んぼ全体に広がっているわけでもない印象でなんとなく手前側に多いのでは?と1

近隣の田んぼにもいるのでは?という視点で見れる範囲で見た結果、農薬の使用なのか水を抜いたあとひっくり返しているかどうかが響いているのか2分かりませんが、もう一か所同様の多肉植物を発見できました

新規発見の田んぼ #

ちょっと露出調整に失敗

成長の進行度としてはこちらは少し遅れ気味、ただし密度という観点ではこちらの方がかなり高いです

こちらの田んぼでも手前の方にはかなり固まっていたのですが、じゃあもう少し奥の方の稲のいた隙間とかそういう場所にもばーっと生えているかというと存在を確認できませんでした。何か種の存在が偏るような要因が存在しているのか……?

こいつが何者なのかを考える #

第一候補は絶滅寸前種!? #

上でレッドデータブック掲載種の可能性がある、と書きましたがそれはこのアズマツメクサという植物です。3月に同属の外来種に出会って名前を見ていたはずなのに完全に忘れていましたね、あっちはこういう水場に生えるものではなかったという差異も大きい。この辺はTillaeaとするのであればアズマツメクサ属となるのですが、Crassulaに含まれるという考え方もあるような分類群だそうです

でまあ……京都府のカテゴリーはなんと絶滅寸前種です。府内で2箇所の記録しかなく片方はもう分からんとかそもそも山城地域での記録はないのか?とか気になりますがまあかなりそれっぽい。ただし単純に決められない話がありまして

最近外来種が増えているそうですよ #

日本には新しく

  • Crassula peduncularisナガエアズマツメクサ
  • Crassula saginoidesアズマツメクサモドキ

という近縁外来種が2種類ほど帰化していることが確認されているそうです。つまり今回出会った植物に関してこの2種の可能性を検討して、判別する必要があるわけでして……ナガエとあるように開花期以降にその特徴が出る種もあるようですし、長期的な話になりそうですね。あとはそれまでの期間この多肉植物たちがちゃんと保存されているかどうかも懸念事項です。ひとまずは3種の相違点の勉強から始めねば

気になる情報 #

京都植物同好会という同好会、こちらの観察会の記録にアズマツメクサとして紹介されている植物があるんですよね。記録されているのは平成29年で、大事なのは久津川駅~流れ橋間というところです。今回の田んぼもがっつりそこに該当しますからね、久津川駅から歩いていくならどうせならここ通った方が田んぼの草も見れるしルートとしてあり得る場所です、となると同じ場所の可能性もありそうで……

違う場所なら場所でほかにもアズマツメクサいるのか!?その程度には城陽市にいるのであれば、レッドデータの調査が甘いのかはたまたアズマツメクサが誤同定だったのか……これはちょっと他の田んぼたちも見ていく必要がありそうです。もし外来種なら外来種で、新しい外来種の広がり具合の調査もできますしね


  1. 遠くのは暗くて視認できていない、という可能性もありますがそれでも偏りを感じた ↩︎

  2. ヒメミズワラビやホタルイのいた田んぼには今回草がいなかった ↩︎