外来タンポポ種群の話 #
総苞が反りかえるのが外来種、反り返らないのが在来種……という簡単な話ではなくなっているらしい日本のタンポポを取り巻く今のあれこれ。個人的に関心が向くのは在来種よりもそれ以外――今は外来タンポポ種群と呼ばれるそんなタンポポ
外来タンポポ種群とは #
- 『総苞が反りかえるのが外来種 』という認識は過去のものらしく、総苞の反り返っているタンポポたちの遺伝子を見ると実は在来種と外来種の雑種が数多く見つかったという話
- セイヨウタンポポとされている外来種以外にもアカミタンポポとされる外来タンポポの侵入や、ニセカントウタンポポ(仮称) のような系統もはっきりしない要素のある新手の出現
純粋な外来種や外来種と在来種の雑種、少なくとも在来種ではないけどよく出自のわかっていないやつ――そういうの色々とひっくるめた総称として 『外来タンポポ種群』 という便利フレーズがある……と言うと怒られそうですが自分の中ではこういう認識です
外来タンポポ種群の特徴 #
- 総苞が反りかえる ⇒ 外来タンポポ種群である は真
- 外来タンポポ種群である ⇒ 総苞が反りかえる は偽
というのが一つ重要なことであって、一見反り返っていないので在来種と思わせておいて……実は外来種(またはその雑種)でした!というパターンがあるのです。上で名前の出たニセカントウタンポポという名前の与えられたものがその1つ
個人的には大型の頭花を持ち、雑種と考えられるタンポポにおいても総苞が反りかえらないケースが多いように思えます。ただし開花が終わって以降では反りかえってくることも多いかも
そういう紛らわしい存在もあることを踏まえると、まず在来種のタンポポがどういうものかということをはっきりと知った上で このタンポポ、この地域にいる在来種とは違う特徴をしていないか? という視点も必要かもしれません
外来タンポポ種群の実例 #
セイヨウタンポポ (とその雑種) #
国内では雑種ばかり、純粋なセイヨウタンポポは今では数少ないそうです。ちょっと変化球的に、ハーブとかの方面ではヨーロッパで生産されたタンポポの種子があるのでそちらから入手すれば純粋なセイヨウタンポポが入手できるのではないかと思い購入してみたりもしています

考えてみれば純粋なセイヨウタンポポを知らないが故に、色々といるセイヨウ系の雑種と思われるタンポポたちのうちどれが本来のセイヨウタンポポに近いかさえも分かっていないままなんとなく外来種的な姿をしているので「これはセイヨウタンポポ」なんて言っちゃったりしているのです
そう考えると、知っているつもりで全然わかっていないのがこのセイヨウタンポポとその雑種個体たちではないでしょうか。自分なんかは、これ以降に出てくるのものに該当しないような外来種的な姿をしたものをセイヨウ系だと認識しているまであるかもしれません
アカミタンポポ (とその雑種) #

セイヨウタンポポと比較して日本のタンポポと交雑を起こしていないものが多いらしい外来種。一体どういう形態をしているものが純粋なアカミタンポポなのでしょうか?セイヨウタンポポと一番区別しやすいのはアカミという和名の元になった果実の色で

それぞれの系統で濃いものから多少色が薄いものまで差がありますが、赤褐色なのは共通ですね
大型頭花の雑種 #
花が大きいという点だけで分けるのは少し違うのでは?と思われそうですが、観察を重ねていると……頭花が大きいものはよく見られるセイヨウ系の雑種たちとはまた違う総苞をしている印象を持つようになったのでここでは特筆すべきグループとして扱います



これは全部1つの坂道で出会ったタンポポたちですが、大型になる雑種には通常の雑種とはまた違う総苞になる傾向があるのでは……?とどうしても思ってしまうのです。自分が最初に出会った大型頭花の雑種と考えられるものも以下のように反り返りは開花までの段階では見られません

この結果になる要因に関してはさっぱり想像もつかないのですが、大型の頭花になる要因と総苞が反りかえりにくくなる要因は連動しているのではないかな、と感じています。しかし北海道では普通のセイヨウ系が7cmオーバーなんて姿になることもあり、大型頭花とひとことで表現するのも危ういのもまた事実。難しいです
ロクアイタンポポ (仮称) #
六甲アイランドで見つかったのでロクアイという名前のついているタンポポ。同様のものが他の地域でも見つかっているそうです。頭花が大きくて株自体も大きい

そういう視点で考えると、上の大型頭花の雑種で紹介したうちの1個体は全体的に大きい植物であることからロクアイタンポポに近いものだと考えてよさそうに思います
ロクアタンポポの確認されてる場所は六甲アイランド以外にもネット上に具体的な居場所まで紹介されている(宝塚市)ものもあるのですが兵庫は遠い、なかなか見に行くのは難しい
ニセカントウタンポポ (仮称) #
総苞が反り返らないのが在来種――という既成概念をぶち破ったのがこいつなのでしょうか。かつては反り返らないことから在来種として紹介されていたこともあるそうです

最初に発見された関東以外でも確認されており、この名称を提唱された方公認で大阪などでもニセカントウタンポポと呼ぶべき個体も見つかっている……のですが、こいつがそう呼んで良いのかはちょっと自信がありません。暗緑色という点ではそれっぽいなとは思っています

よりそれらしい個体も自宅から80歩弱歩いた場所という非常に近くで見つけたりもしたのですが、上のものもこちらも刈り取りを受けて消滅しちゃったんじゃないかな……ということになっております。種子の回収さえできれば系統の維持はできたのにそれも叶わず残念です
園芸目的で栽培されている種たち #
まだ帰化植物にはなっていないと評価するのが正確なのではないでしょうか、気を付けてコントロールせねば綿毛が飛んで行ってその辺で発芽してそのまま根付く可能性もあるのではないかと

ヒベニタンポポなどはかなり流通しているみたいで(自分でも安価に簡単に買えた)、こいつなんかがいつの間にかその辺で生えている……という未来はあるのではないかなと。なんなら在来種であるかのように売られていた話もあるそうでちょっと怖いですね
他にも色々と外来種が流通しており、既に広がっている外来タンポポ種群と併せてこういうタンポポたちを栽培する際には飛散・拡散防止に気を付けないといけませんね